第二章 「身支度」
退職届を出して8月一杯までの仕事になり、限界な精神状態ながらも何とか持ちこたえることができました。
思えば11年間勤めてきて何度も心が折れそうになったりして、それでも這い上がってきた。
だから打たれ弱くとも、人一倍回復能力は早いと断言できる。
辞める2年前からは職場で自我を出し始め、それなりに言いたいことも面と向かって言えるようにはなっていた。
しかし、引っ越し作業がここまで大変だとは思わなかった。
8年ほど住んだ賃貸物件で、こんなにも物が増えていたことに驚愕してしまい、それの処理に費用と時間を大きく使ってしまった。
大して弾きもしなかった電子ピアノ、大型扇風機、重たいガラス水槽、着ない盛りだくさんの服、40巻もある重たい図鑑シリーズ、使わない家電製品、とにかく他にも一杯あった!
自分で買ったもの、親からもらったもの、総額で何十万としたであろう物たち。
そのほとんどを引っ越しが終わったあとで回収業者に引き取ってもらいました。
約3万円ほど、これは痛い!
しかもこの半年前にも回収業者にきてもらっていて、その時は総額8万円もしました(泣)!
自分はいかに物欲でまみれていたか痛感させられた所でした。
それでは、会社を辞めて家賃の安い物件に引っ越しする話に移ります。
会社員としての契約は9月中旬までありますが、仕事自体はなく時間はもはや無限にある。
当初の考えとしては、9月中旬ぐらいに引っ越しできればいいかなと思っていたが、ここで早くも予定が狂ってしまう。
引っ越しで手伝いをお願いしていた友人が、なんと9月5日出ないと休みが取れないと言うのだ!!
やべーじゃん!
間に合わねーじゃん!
焦った焦った!
とりあえず引っ越しをサイトを調べる。
するとアート引越センターのサイトに、引っ越しの見積もりをネット上で簡単に計算できる、ということが書かれていたのでクリックしてみた。
それはいくつかの質問答えるもので、最初は引っ越しに出す荷物はどんなものかを画面上に出ている、椅子、机などの家具類、冷蔵庫、電子レンジなどの電化製品など、家具類のアイコンを選択していくものだった。
そのあとに段ボールはいくつ必要なのか?とあり、とりあえずスタンダードであった30箱にした。(この選択によりあとで段ボールが足りないという悲劇となる。)
そのあとは住所、名前、連絡先等を記入した。
画面上には「あとで引っ越し業者から連絡が入ります」等のメッセージが出ていた。
すると電話が来た!
その電話主は引っ越し革命と名乗っていた。
自分はアート引越センターのサイトで見積もりを出してもらっていたので、てっきりアート引越センターの下請けかと思っていた。
しかし、あとで分かったことは、このアート引越センターの見積もりサイトを利用することで、たくさんの引っ越し業者にも情報が行ってしまうということだった。
だからレスポンスの早い業者から電話が来るのだ。
まさに獲物の総取り合戦がそこでは行われているのである。
トラップに引っかかった獲物を、複数のハンターが待ち構えているのかのように。
知識も判断力にも欠ける自分は、その引っ越し革命という業者と契約の約束を交わしてしまった。
しかし、数時間して電話が入る。
アート引越センターからだった。
「?」
勘違いしていた自分は、アート引越センターの人と話をしてようやく自分が違う業者と契約をしてしまったことに気が付いた。
でもそれでよかったのだ、なぜならアート引越センターの人と自分の荷物状況の話をすると対応できないことが一つあったからだ。
それは水槽を運ぶということ。
自分は90㎝のガラス水槽を持っている。
これはとても重く、傷がつきやすい。
そしてオーバーフローの水槽であるため、メイン水槽の下に濾過槽という、もう一つの水槽がある。これも重いのだ。
そして水槽台。
この90㎝オーバーフロー水槽は6万で、さらにクーラー装置、水中ポンプをつけたので、合計で12万円ほどしたのだ。
実は過去にもっと大きい水槽も持っていた。
水槽をオーダーメイドで作ってくれる熱帯魚ショップに行き、交渉して大型水槽を購入。
幅150㎝、奥行き60㎝、高さ60㎝の大型オーバーフロー水槽で、大型水槽用水中ポンプとヒーターもつけて総額45万円!
一括で払いました!
この大型水槽用ヒーターは出力も半端ではなく、冬場にこれが起動しているときにドライヤーか電子レンジを使うだけでブレーカーが落ちる!
電気代も2万円も超えていて、消費電力も一ヶ月で250Wも使っていた(笑)
水槽内を泳いでいたのはアロワナ、コロソマ、オスカー、シャベルノーズキャット、あと色々。
大型水槽は正面から見るより、横から見ると世界が違って見えてとても興奮するのだ。
しかし、あまりにも身の丈にあっていないものを買っていたことに、なんだか心が苦しくなり、魚も水槽も熱帯魚ショップに買い取ってもらった。
2万円で(泣)
人間は同じ間違いをする、私はそれよりは小さいがまたしても水槽を購入してしまったのである(90㎝オーダー水槽を)
話を戻します。
引っ越業者によっては水槽を運ぶことができないそうで、アート引越センターも対応できないとのことだった。
他にも業者の電話がきたが、対応できない所が多い。
しかし、契約した引っ越し革命はできるとのことだった。
だから、これでいっか!と思っていたが、2時間ほどして電話がくる。
「レディアス引越センターです」
よくわからん引っ越し業者が多いなぁ~と思いながら電話をとるも、内容を聞いていると悪くはなかった。
自分がすでに契約したことを伝えると、レディアス引越センターの業者はそれよりも安い値段で交渉してきた。
なるほどこうやって色々な業者と交渉していけば、引っ越し費用も安くできるわけかと理解した。
だが、今の自分には時間がない、とりあえずレディアスは安いみたいだからこれに契約しよう!
水槽対応もできるとのことだったのですぐに契約した。
引っ越し革命には断りの電話をいれたが、理由を教えてほしいとのことで中々しつこいものだった。
断っても連絡していないのか、引っ越し革命の下請け業者から、引っ越しについての話があり、都度キャンセルしたと説明するのがめんどいものだった。
レディアス引越センターの引っ越し費用は7万ちょっとだった。
水槽対応以外に、いらない家具類の引き取りもお願いしていたので、その費用も入っている。
というかどんだけ物が多いんだ自分!
とりあえず引っ越し業者との契約は済まして、あとは引っ越し作業!
しかし、これが本当に大変で地獄の作業になった...